【みんなで綴る百物語】~拾弐の灯り~

企画
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ところであんた。

 

実際の所……

《見えてる》のかい?

 

ここでこれだけ長い時間を

潰してるんだ、

このテの話が好きなのは

よぉく分かってるんだが……

 

あんたの

目や耳がどうかって話は

まだしていなかっただろ?

 

まぁでも、

聞かなくても

大方見当はつくよ。

 

__見えてるヤツは

やっぱり目が違う。

 

見えてるヤツの目は……

生き生きしてるのとも

死んでるのとも違う、

色んなものが混ざり合った

上等な染め物みたいな

色をたたえてるんだ。

 

雑多なはずの念や感情が

瞳の中をチラついて、

案外キレイに見える時が

あるんだよ。

 

まぁ、

それが見えるのも

《見えてる》ヤツだけ

なんだけどさ__。

 

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▼《拾弐の灯り》:見えるという事

 

私の住んでいる川崎市には

縦断する形で大きな国道が

通っているんですが、

 

今回はこの国道の

とある場所に関する、

思い出したくもない

ゾッとする体験を

お話ししたいと思います。

 

問題のとある場所がある区画は、

とても見晴らしのいい

直線道路です。

 

でもとにかく

交通事故が多い

 

それも、

死亡事故

ばかり。

 

どんなに整備されても、

事故が減る事はない

んです。

 

定期的に、

必ず通行止めになります。

 

パトカーと救急車、消防車が

連なって道をふさいでいるのを、

私自身数え切れないほど

目にしてきました。

 

私も、

ずっと不思議だなと

思っていたんです。

 

通る度に

何か…事故に繋がる様な

おかしな物はないかと

観察してしまう位に__。

 

でも何もないんです。

 

あるのは……

数十メートル毎に置かれた

沢山の花束と子供のおもちゃ

くらい__。

 

そこにあるのはいつも、

命を落としてしまった人を

悼む気持ちだけでした。

 

私と主人はこの場所で一度、

事故の瞬間に

居合わせてしまった事が

あります。

 

バイクが横転し、

後続車に轢かれた男性の

応急処置をしたんです。

 

私の主人は看護師だったので

主人の方は慣れたもの

だったんですが……

 

初めて事故の瞬間と惨状を

目の当たりにした

私にとっては、

 

その光景は、

今でも忘れられない……

多分一生忘れる事の出来ない

衝撃的な光景です。

 

__その後、

応急処置を施した

バイクの運転手さんは

病院で息を引き取ったと、

ご遺族に伺いました。

 

私は特別なモノは

何も見えません。

 

でもこの時、

あの場所にはもう

近付かない方がいい__。

そんな風に思いました。

 

そして……

時が流れ私と主人の間に

2人の息子が生まれ、

私は母になりました。

 

育児をしていると

時間に追われる事が

多くなります。

 

ほんの少しの時間すら

削る事が出来るなら

それに越した事はない__。

 

その日はその気持ちが

勝ってしまったんです。

 

それまで避けていた

“あの場所”を通って

近道をする事を選んで

しまいました。

 

__久しぶりに訪れた

あの場所は、

思った以上に

整えられていました。

 

花束はまだありましたが、

それでも全体的に

少しスッキリとした

ような気がしたんです。

 

何となく気持ちが

軽くなった私の背を、

心地いい追い風が

押してくれました。

 

「早く歩けるねー!

ほら行こう!!」

 

気分を良くした私が

2人の息子の手をそれぞれ

引こうとした瞬間__。

 

息子達が私を追い抜き、

逆に私の手を引いて

走り出したんです。

 

「ちょっと…、

どうしたの2人とも…。」

 

戸惑いながら

問いかけましたが、

すぐには答えてくれません。

 

でも、

痛いほど強く握り締めてくる

小さな2つの手は、

私に確実に……

ただならぬ異変

を訴えていました。

 

そして、

一番手前にあった

小さな曲がり角を

曲がった瞬間、

 

息子達は勢いよく

私を引き込んでから、

手を離しました。

 

__そして、

叫ぶように言ったんです。

 

「ママの背中を……

小学生くらいの子供が

何人も一緒になって

押してた…!!」

 

連れて行こうと

してた!!」

 

__気が付くと追い風は

止んでいました。

 

いつの間にか、

私の手が、肩が

小さく震えていました。

 

なぜかあの日の……

事故の光景が蘇り

背中が寒くなりました。

 

(あの人も、

そんな風に何かに

連れて行かれたの……?)

 

そう思い

思わずあの場所を

振り返りましたが、

私の目には当然……

 

『あの日の運転手』

私の背中を押していたという

『子供達』も、

誰ひとり

映りませんでした。

 

息子達はその日以来、

私に『見える』事を

隠さなくなりました。

 

あの場所では、

身体がボロボロに
裂けてしまった人達が
折り重なるようにして
蠢(うごめ)いている

事。

 

そして彼らは……

道行く人の手を引いたり
背中を押したりして
自分達の世界に
引き摺り込もうとしている

事など、

 

今まで言えなかった……

けれど確かに見えていた

沢山の事を教えて

くれました。

 

息子達には今でも

あの道は絶対に通るな

念を押されます。

 

まぁ私自身……

今となってはもう、

一人で通ろうだなんて

思えませんけどね。

 

ちなみに、

そんな息子達に言わせると

私達が住む家には

見えない住人が一人……

 

私達が越してくる前から

いらっしゃった

との事なんです。

 

でね、

息子達は口を揃えて言う

んです。

 

「悪い人じゃないよ、
すごく気遣ってくれる。

普段は俺達がいない所に
居てくれてるしね。

……まぁ時々、
鉢合わせしちゃう事も
あるんだけど。」

 

不思議でしょ?

 

こんな優しい霊もいる

んですって。

 

『見える』って、

あながち悪い事でも

ないかも知れませんよね?

 

 

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▼結び

 

確かに見える

面白い事もある、

人によっちゃあね。

 

でも、

ほとんどの人間が

面白いままでは

終われない。

 

生きてるままで

ヤツらに触れていると、

魂にアザみたいに

染みついちまうんだ。

 

ヤツらの暗い想いがさ。

 

心が弱いヤツ……

陰を溜め込んでいる様なヤツは

特に注意が必要だね。

 

ヤツらは陰を喰い物にして

魂から殺しにかかる。

 

魂が死ぬと、

人間は自分から簡単に

死を選ぶようになる。

 

それに抗う為には、

出来るだけ

《陽》を取り込む事だ。

 

この家族みたいにさ、

生きてる繋がりを

大切にするんだよ。

 

《陽》は愛情だ。

 

陰に勝てる《陽》は、

人からしか貰えない。

 

あんたも誰かに

本物の《陽》を与えて、

与えてもらえる様な人間に

おなりよ__。

 

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※画像引用元
サンサンさんによる写真ACからの写真

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