【みんなで綴る百物語】~九の灯り・重ね綴り~

企画
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あなた__、

本当にこの手の話が

好きなんですね。

 

あら、

そんなに驚かなくても

いいじゃありませんか。

 

私、

ずいぶん前から

この座敷にいたんですよ?

 

まぁ、

こんなに深い闇で

ろうそくの灯りだけに

頼っているんですから、

 

見えない…気付かないのも

仕方がないかも知れませんね。

 

あぁ、シノさん?

 

……今は、

そうね__。

 

私のおつかい物に

行ってもらっているんです。

 

だから今回は、

私がお話しして差し上げます。

 

ほら……、

ろうそくもちゃんと

用意してあるんですから。

 

このろうそくはね、

いつもの物とは

少し違うんですよ。

 

幾人かの恐怖や念を

ないまぜにして作られたもの

なんです。

 

ひとつひとつの

お話しは短いけれど、

その分沢山の念が

込められているわ。

 

……ほら。

 

この辺りなんて、

顔みたいに見えるでしょう?

 

込められた思いが、

形を作って声を上げようと

しているのね。

 

__とっても魅力的だと

思わない?

 

さぁ、

早く明かりを

灯しましょう__?

 

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▼《九の灯り》:重ね綴り

◆必ずやって来る不思議な見舞客

 

私が生まれ育った町は、

少し変わっていたんです。

 

不可解な現象を見聞きする…

などという事は日常茶飯事で、

 

心霊スポットと

称されるような廃墟や

おかしな噂が飛び交う場所も、

いくつも存在していました。

 

…私が住んでいた家にも

おかしなモノがいた位です。

 

ソレは、

私がまだ小さかった頃…

 

決まって

私が高い熱を出した日に

姿を現していました。

 

私がふぅふぅ言いながら

うなされていると、

 

大人と同じ位の大きさの

半透明なエビ2匹と小さな子供が

私の布団を取り囲むように

しているんです。

 

でも、

何か悪い事をして来る訳では

ありませんでした。

 

ただ、

とても楽しそうに

私の側で踊っているだけ。

 

その様子を何度も

目にしていた私はずっと、

『私もいつか一緒に踊りたい』

そう思っていたのですが、

 

成長するにつれ段々と

その姿を見る事も

少なくなっていき、

結局幼い私のささやかな野望は

果たすまでには

至りませんでした。

 

でもそれで良かった

んじゃないかと思うんです。

 

だってあの時……

一度でも一緒に

踊ってしまっていたら、

 

彼らの世界に

連れて行かれてしまっていたかも

知れませんから。

 

もしそうなっていたら、

ここにこうして

座っている事も

出来なかったかも

知れませんよね__。

 

 

◆もう一人の女子生徒

 

学校って

不思議な所だよね。

 

入学して、友達を作って

喧嘩して仲直りして…

勉強してテストして。

 

どんなに楽しい場所だと思えても

必ず出て行かないといけない。

 

なんか、

寂しいよね。

 

私は学校が大好きだったから、

小学校を卒業するのは

すごく嫌だった。

 

今通ってる中学校も、

楽しい事とか秘密の場所とか

大好きなものが沢山あるから、

出来れば卒業したくない

と思ってる。

 

__そういえばね、

私の通う中学校には

ちょっと面白い噂が

あるんだ。

 

旧校舎の西階段を
仲のいい友達同士で使うと、
体操服を着た女の子が
後を付いてくる

ってやつ。

 

なんて言ったっけな…?

確か__、

 

ずっと昔、

体育の授業に

遅れそうになった女の子が

友達に置いて行かれちゃって、

急いでその階段を下りてた

らしいんだけど、

 

滑って転げ落ちちゃった

んだって。

 

それで、

かなり酷いケガをしてた

らしいんだけど、

発見されるのが遅くて……

 

命は助かったけど、

歩く事が出来なくなっちゃった

んだって。

 

もう皆と一緒に

歩いたり走ったり

出来なくなったその子は、

どんどん暗くなっていって

すこし後に引っ越しちゃった

んだってさ。

 

でも__。

 

それからしばらくたった後、

旧校舎の西階段…

あの子が転げ落ちた場所で

もういないはずの
あの子を見た

っていう生徒や先生が沢山いた

らしいよ。

 

あっでも、

その子は死んでなかった

らしいから、

 

“生き霊”って言うの

だったんだろうって

友達が言ってた。

 

これ…噂じゃないの。

 

__私も見た事ある。

一度だけね。

 

階段を下りてくる

5人の女子の中に

体操服の足を……。

 

足だけ、ね。

 

皆制服だったから

何か違うって

すぐ分かったの。

 

でも、

不思議と怖くは

なかったんだ。

 

きっと、

他の学校に行っても

楽しかった頃の事が

忘れられなかったんだね。

 

だから__、

魂としてでも皆の輪の中に

入りたくなっちゃうんだろうね。

 

私はちょっと…

その気持ち分かるなぁ…。

 

 

◆惨劇を繰り返す家の末路

 

私はもう少し若い頃、

沖縄の米軍基地の近くに

住んでいた事があるんです。

 

その基地のゲートのすぐ横には

取り壊そうとすると
死人が出る

とか、

 

よくない事が起こる……

なんて言われていた

曰く付きの家がありました。

 

その家は私がその街に

越してきた時点ですでに、

恐怖スポットとして

有名になっていました。

 

なんでも……

ずいぶん前に

一家惨殺事件が起こった

そうで、

 

事件の犯人は

その家の主だったと

言うんです。

 

この事件の全容は

まさに悪魔が起こした

かのような

恐ろしいものだったそうで……

 

事件当夜、

その家から

“悲鳴のような声が聞こえる”

との通報を受けた

警察が家に駆けつけると、

 

家族の血で

全身を真っ赤に染めた

その家の主が、

 

『殺せ!殺せ!!』

 

そう叫びながら

飛び掛かってきた

そうなんです。

 

__結局、

その家の主人は

逮捕された後も

正気に戻る事はなく……

 

最終的には拘留中に

自殺を遂げたそうです。

 

……そんな、

不可解で凄惨な事件があった

曰く付きの家には、

 

それ以降、

空家のはずなのに
人影が見える
小さな子供が
家の近くを通ると怯える

など霊的な目撃情報が相次ぎ、

 

いつからか……

入居した家族は
必ず同じ様な目に遭う

という噂までもが、

まことしやかに

囁かれるようになりました。

 

そんな噂を気にしていた隣人が、

新しく越してきた家族連れの父親に

それとなく調子を尋ねた所、

こんな事を言われたそうです。

 

四六時中…
耳元で「殺せ!」
と叫ばれていて
気が狂ってしまいそうだ……

 

噂はあながち

でたらめではないのかも

知れない__。

 

一連の話を聞き終えた私は

どうしてもその家の様子が

気になりました。

 

誰も住まなくなって

ずいぶん経つその家は、

今どうなっているのか__。

本当にそこに霊がいるのか__。

 

好奇心を抑えられなくなった私は、

散歩コースにその家の前を

組み込んだんです。

 

__いざ行ってみると、

その家はやっぱり異様でした。

 

埃やカビのせいなのか、

その家の周りだけ

何となく空気が淀んでいる

というか…

重い様な気がしましたし、

 

何十年もそのままに

されているせいで

屋根や壁のあちこちが

崩れかけていて、

 

見ているだけで

不安を掻き立てられる

ような独特の雰囲気を

持っていました。

 

更に家の周囲に茂る

雑草の背も高く、

足元から太股の辺りまでは

何も見えない様な状態…。

 

足元が見えない

という不安も、

私の恐怖心を

煽っていきました。

 

でも一番恐ろしかったのは……

 

建物の窓という窓と玄関に、

これでもかという程の厚みで

何重にも…大きな板が

打ち付けられていた

という所です。

 

その様子はまるで、

ナニかを外に出さない
ようにしている

かの様で、

ゾクッとするものが

ありました。

 

そんな、

《曰く付きの呪われた家》

置かれた状況が一変したのは、

私が初めてその家を訪れてから

数週間後の事でした。

 

いつものように

その家の前に差しかかった時、

違和感を感じたんです。

 

その家は__、

取り壊されていました。

 

後で聞いた話では、

建物に使用されていたアスベストを

除去する為に取り壊しが決まった

との事だったんですが……。

 

私は結局……

今まで聞けずにいるんです。

 

あの家の取り壊しに

関わった人達が、

本当に無事だったのか__。

 

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▼結び

 

あなたが住んでいた世界は、

いつどこで何に出会っても

おかしくない__、

とても不安定な世界なんです。

 

曲がり角で出会いがしらに、

あるいは、

電車を待つホームで……

 

時には、

何もないと思っていた

あなたの家で__。

 

いつ、どんなモノに遭うか……

分からないものなんです。

 

その人に不思議な力が

あるとかないとか__、

そんな事は関係ないんです。

 

どこにだって

歪みは生じますから。

 

私もその歪みに取り憑かれた

一人ですから、

あなたのお気持ちは

よく分かります__。

 

でもね、

教えておきましょう。

 

あなたが消している

そのろうそくには、

数多の恐怖が

込められているんですよ。

 

消す度に、

その恐怖はこの座敷に

放たれている__。

 

ろうそくを消せば消すほど、

あなたとあなたの魂を

奪おうとする手が、

増えていく事になるんです。

 

もっと灯りを吹き消すつもりなら、

心を強く持つ事です。

 

__私はシノさんに

『いけ好かない』

なんて言われてますけど、

人間には優しい方ですから

信じて損はありませんよ。

 

私の言った事、

心に留めて置いて

下さいね__?

 

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※画像引用元
サンサンさんによる写真ACからの写真

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