【みんなで綴る百物語】~六の灯り~

企画
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世の中ってのは、

どうしてこうも

思い通りにいかないモン

なのかねぇ。

 

何の話かって?

 

そりゃあ、

あんたの事さ。

 

あたしには分かるんだよ。

 

ここに来た人間が、

『話したいヤツ』

なのか、

『聞きたいヤツ』

なのかって事がさ。

 

ほんとの事を言うとね、

今のあたしは

『話したいヤツ』

を待ってたんだ。

 

ちょいとばかり

ろうそくが減って来てた

もんだから、

この辺りで

調達しておきたかった

ってのに……

 

なのに来たのは、

『聞きたいヤツ』

のあんただ。

 

おまけに、

いつまでも目を輝かせて

ろうそくをねだる

ときたもんだ。

 

ほんとに、

誰がこうさせたのか

聞いてみたいもんだよ。

 

__そもそも、

あたしがここに来る人間を

選ぶ事が出来りゃあ、

それに越した事はないんだ。

 

けど、

そううまく事は運ばないモン

だよねぇ。

 

……そういや、

今のあんたに似合いそうな

面白い話があるよ__。

 

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▼《六の灯り》:望まざる入居、招かれざる家族

 

私の夫は結婚する前から

少し特殊な仕事を

していました。

 

いつも不規則な勤務時間で

転勤や部署異動も、

いつだって突然

言い渡されるような…

 

まぁ……

ある種のブラック企業

のような働き方をさせる

会社に勤めていたんです。

 

でもその会社は、

ひとつだけ私にとっては

ありがたい待遇を

してくれていました。

 

それが

『住居の手配』

 

転勤の時には必ず、

会社側が私達に見合う家を

手配してくれていたんです。

 

これは人によっては

嫌がる事なのかも知れませんが、

面倒くさがりな私にとっては

かなりありがたい事でした。

 

__あの時までは。

 

私は最初から何となく

嫌な予感がしていました。

 

初めてその家に入った時の、

何とも言えない……

ジメッとした空気と薄暗さに

私の中のアラーム

のようなものが

反応した様な気がした

からです。

 

でも、

引っ越しのタイミングと

夫のスケジュールを考えると、

今から別の家を探すなんて事は

不可能でしたし、

 

何より……

そんな前例のない事は

許されないだろうと思い、

 

私が感じた違和感は

あえて口には出さず、

引っ越しを強行して

しまいました。

 

そして、

引っ越し当日__。

 

私は思い知らされました。

 

自分のアラームの精度が

素晴らしかった事を。

 

私が一人で

荷物を片付けている時に、

2階の階段を上った先にある

クローゼットの扉の裏に……

『赤い小さな手形』

を見つけてしまったんです。

 

私はこの事を

誰にも言えませんでした。

 

でもやがて、

子供達も段々と

この家がおかしい事に

気が付き始めました。

 

息子は、

誰もいない時に

誰かに名前を呼ばれたと

青ざめた顔で話し、

 

その数日後、

娘もその声を聞いたと

言ってきました。

 

そして、

更に数日経った深夜……

私と夫は息子の甲高い悲鳴で

飛び起きる事に

なったんです。

 

完全に落ち着きを失い

取り乱している息子を

なだめながら

話を聞いてみると、

 

息子は

金縛りに遭い
小さな女の子を見た

そう言いました。

 

「夜に、

急に苦しくなったの、

目を動かして……

部屋を見たら、

足元に女の子が、

うずくまってた!

 

慌てて布団を被って、

目を閉じた!

 

でもいたの!

 

目を開けたら、

目の前にいたの!!

 

息をする事すら

忘れてしまう程の恐怖を

味わった息子は、

 

それから数時間後、

娘と同じ部屋でようやく

眠りにつきました。

 

その頃には段々と、

空が明るくなり始めて

いました。

 

「気のせいでしょ」

 

本当ならあの時そう言って、

軽く笑い飛ばしてあげなければ

ならなかったんだと思います。

 

でも、

あの日の私には

そうする事が出来ませんでした。

 

そんな軽薄な言葉では

片付けられない不可解な事が

起きているという事を、

私自身もよく分かっていたから。

 

私も……その数日前、

一人でいる時におかしな音を

耳にしていたんです。

 

子供達を学校に送りだした後、

私が腰をかがめて

床掃除をしていた時__、

 

「ヒュッヒュー……」

 

それはまるで、

私をからかおうと……

脅かそうとしているかのような

軽い口笛の音でした。

 

ソレの吐息が頬に触れた

あの瞬間の感触は、

今でも忘れられません。

 

息子の恐怖は

私の恐怖とリンクして、

私たち家族から安らぎを

奪っていきました。

 

そして、

私達に限界が訪れようと

していた時、

 

意外な場所で救いの手を

差し伸べられたんです。

 

当時私が働いていた

ネイルサロンに

たまたまいらっしゃった

“スピリチュアルカウンセラー”

 

彼女は、

私に家の見取り図を

描かせるとこう言いました。

 

「玄関から階段にかけてが
霊道になっている。

盛り塩をした方がいいね。」

 

__そうして私達は、

新しい家が決まるまでの期間を

なんとか耐え切り

その家を後にしました。

 

今思うと、

あの頃の私達は

本当に情緒が不安定で、

それぞれが制御できない

自分自身の変貌に

戸惑っていました。

 

もしあのまま……

何の手も打たず

あの家にいたら__。

 

そう思うと寒気が走ります。

 

 

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▼結び

 

人間……

ある程度生きていると必ず、

『自分の思う通りにならない事』

ってのにぶつかっちまう。

 

どれだけワガママが

許されるヤツでも、

どれだけ年を食ってるヤツでも、

どうにもならない__。

 

まるでナニかに

引き寄せられてる様な

気になる瞬間があるモンだ。

 

まぁ、

そんなのが色恋であれば

いいんだけど、

 

この姉さんと家族みたいに

なっちまうと厄介だよ。

 

覚えておきな。

 

“ヤツら”は見えない事が

ほとんどだけど、

見えてるモン以上に強い“念”

を持ってる。

 

あんた達を勝手に動かす事なんて

朝飯前…ってくらいの“念”

をだ。

 

ヤツらの念は、

ほんとに怖いモンだ……。

 

器を失ったって

そこに在り続けて、

生きてるヤツを簡単に

引きずり込んじまう

んだからね。

 

あんたも

気をつけた方がいいよ。

 

あんたがここへ来たのも、

誰かの“念”がそうさせたから

なのかも知れない

んだからね__。

 

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※画像引用元
YOU_KAZさんによる写真ACからの写真

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